台湾サブカル探訪

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善意のボーダーライン

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ただ「相手が喜んでくれれば、」という純粋な善意でも、相手から感謝の言葉や気持ちが見えなければガッカリするし、それが続けば段々と嫌になってくるもの。


数年前、台湾人の友人が、縁ある日本のバンドの頼みで台北ライブを企画した。

ライブハウスと日程を決め、宿舎を手配し、対バンのブッキング、ビザの手配、ポスター作製、宣伝、、、彼は全て善意で請負い、結果ライブは大成功、今でもそのバンド達とは良い関係で交流が続いている。

こんなに成功したのは、彼の熱い思いと善意、それに相手の感謝とリスペクトがあったからだと思います。

 

その後、様々な日本のバンドやイベンターから「台湾でライブしたいから企画してくれないか?」と問い合わせがくるようになった。以降も良いバンドやイベンターと協力の基、素晴らしいライブを成せることもあったが、全部が全部そういう訳では無い。

無茶苦茶な要求をしてくるイベンターや地元バンドと交流するわけでもなく、サッサと帰ってしまうバンドも増えた。最初は感謝があった人たちも、それに慣れて善意が当然のことのように思い始めた。

 

こういう人たちを相手していると、自分自身が疲弊してくる。

尚且つ、彼は商売でやっているわけではないし、金銭的に見返りがあるわけでもない。

同様に私も日本のバンドに頼まれ台北でライブ企画しているので、企画がいかに大変か分かるし、相手の「ありがとう」の気持ちの有無が自分の感情にどれだけ影響するかもわかる。

 

私は日本人に台湾のバンドマンを紹介することも多々ある。頼まれて紹介するときもあれば、良かれと思い自ら紹介する時もある。純粋に(喜んで欲しいな)と思いながら。

ただ、紹介した後に連絡が途絶えたり、逆に自分の知らぬところで当人同士が企画や計画が進めていることを後から知ると、(せめて一言教えて欲しいなぁ、、)と口には出さないけど寂しい気持ちになる。自分のエゴかもしれないけど。

 

 

多くの人は自分のことで精いっぱいだ。

彼も私も、台湾バンド界隈の窓口として便利だと思うし、そこに乗っかろうとだけ考える人に、感謝やリスペクトなんて求められないだろう。

コチラとしては、相手からの感謝とリスペクトを受ければ、いくらでも頑張ろうと思えるのだけど、、。

 

無制限な善意は、結果として自分の首を絞めることもある。

悲しいことだが、善意のボーダーラインを持った方が良いと思った。